よくある質問と回答

再生医療全般について

Q-1
「臨床研究」と「治験」は同じなのでしょうか? また、臨床研究に参加することが決まった場合に必要な費用と入院に要する期間等を教えてください。(2012年10月19日更新)
Q-2
この度、こちらのサイトで、アメリカでスターガルト病の患者にES細胞を用いた治験が行われるかも、という内容を見せていただき衝撃がありました。続報があれば、ホームページで掲載されるのでしょうか?(2012年10月7日更新)
Q-3
視細胞→双極細胞→視神経がつながるかどうかの「確かめ方」に、(A)細胞レベルで確かめる、(B)マウス・サルなどで「実際に見えているかどうか」を確かめる、の2種類のアプローチがあるとして、(B)が(A)より難しい理由を教えてください。
Q-4
薬による網膜再生では、全盲の人でも見えるようになるのでしょうか。網膜再生は、全盲の人は、難しいというお話を聞いたことがあるように思いましたが。
Q-5
今回の薬(WntあるいはGSK3be-ta)による網膜再生と視神経との関係は、どうなるのでしょうか。薬による網膜再生により、視神経とのバイパスが、自動的にできて、物が見えるようになるのでしょうか。
Q-6
夢のよう話ですが薬で視細胞を活性化したり死んだ視細胞をよみがえらせる技術は可能ですか。
Q-7
網膜の再生・発生について化学的因子(薬品など)・物理的因子(光など)が関係ありますか。
Q-8
タンパク質ロドプシンを人工的に作り(培養)して網膜組織に返すことが可能ですか。
Q-1
「臨床研究」と「治験」は同じなのでしょうか? また、臨床研究に参加することが決まった場合に必要な費用と入院に要する期間等を教えてください。(2012年10月19日更新)
A-1
「治験」は主に製薬会社が、薬事法に基づいて医薬品等の認可を受けるため、安全性や有効性を確認するために行うものです。
「臨床研究」とは、医師が医師法やその他の指針に基づいて、新しい薬や医療技術の安全性や有効性を確認するために行うものです。
細胞治療に関しては、厚生労働省の「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に従って行われます。
臨床研究の治療費については患者さんの負担はありませんが、治療後半年間は、毎月検査に来ていただくことになりますので、遠方の方は難しいかもしれません。交通費はご自身で負担していただくことになります。
入院日数は1週間程度になると思われますが、個人差がありますのであくまでも目安とお考えください。
臨床研究に参加を希望されるにあたっては、主治医の先生とよくご相談いただき、対象になる可能性がある場合は、所定の「診療情報提供書」をお送りください。
詳しくは【 加齢黄斑変性 かれいおうはんへんせい の臨床研究について】をご覧ください。
Q-2
この度、こちらのサイトで、アメリカでスターガルト病の患者にES細胞を用いた治験が行われるかも、という内容を見せていただき衝撃がありました。続報があれば、ホームページで掲載されるのでしょうか?(2010年10月7日更新)
A-2
アメリカのES細胞由来網膜色素上皮細胞移植は現在アメリカのFDAに申請中で、それに対する問題点の指摘とそれに対する企業側の返答が終了したところです。
返答したということは出された課題に回答できたということで、一歩前進です。後は他に問題点の指摘があるかどうか(通常はこれが何回か繰り返されます)によって臨床研究の開始時期は異なります。ジェロン社のES細胞を用いた脊髄治療の場合はこれが何年も続いてやっと承認されました。(承認されてから、まだ臨床が始まったというニュースは聞いていませんが) 日本では、今厚労省の幹細胞利用の指針の改正が行われており、ES細胞による移植も可能性が出てきていますが、ES細胞作成の指針が変更されないと実際は使えない状況です。もう少し時間がかかると思いますが、欧米にさほど遅れず開始したいと思っています。ホームページを情報源とされているかたも多いと思いますので、今後も随時更新して行きます。
Q-3
視細胞→双極細胞→視神経がつながるかどうかの「確かめ方」に、(A)細胞レベルで確かめる、(B)マウス・サルなどで「実際に見えているかどうか」を確かめる、の2種類のアプローチがあるとして、(B)が(A)より難しい理由を教えてください。
A-3
必ずしも(B)が(A)より難しいということはありません。むしろ手技的には(B)の方が簡単ですが、両方の証明が必要だと思っています。
細胞レベルでつながったかどうかを確認するためには、シナプスができていることを電子顕微鏡や電気生理(信号が伝わっていることを電気的に証明する)が必要で、これは技術的にも装置的にも多くを必要とします。
実際に見えているかを調べるには、いろいろな方法がありますが、その方法はむしろ簡単です。 しかし、実際にそのテストで証明できるほど見えるためには、たくさんの細胞が正しくつながっている必要がありますので、細胞レベルで数個つながっていても動物レベルでは検出できない、その意味で動物レベルではハードルが高いということになります。
ただし、動物で見えていることが証明できても、新しく細胞がつながったのか、今まで弱っていた細胞がまた復活したのかはわかりませんので、細胞レベルの証明も必要だと思います。
Q-4
薬による網膜再生では、全盲の人でも見えるようになるのでしょうか。網膜再生は、全盲の人は、難しいというお話を聞いたことがあるように思いましたが。
A-4
今回報道された薬による方法は完全に視細胞がなくなって全盲(暗黒)の場合は難しいと思われる結果が出ています。
ただし、網膜再生でも移植の方は視神経が元気であれば可能性があります。
Q-5
今回の薬(WntあるいはGSK3be-ta)による網膜再生と視神経との関係は、どうなるのでしょうか。薬による網膜再生により、視神経とのバイパスが、自動的にできて、物が見えるようになるのでしょうか。
A-5
この点がまさにこれから研究しないといけないことで、まだわからないというのが答えです。実際には視神経と視細胞との間にはもうひとつ別の細胞(双極細胞)があって、双極細胞と視細胞がつながれば双極細胞は視神経の細胞とつながっていますので、信号が脳に伝わって光が見えるはずです。
つながるということがわからないと治療につながるかどうかもわからないのです。
Q-6
夢のよう話ですが薬で視細胞を活性化したり死んだ視細胞をよみがえらせる技術は可能ですか。
A-6
死にかけている視細胞を救う(質問の活性化にあたるでしょうか?)ということは様々な遺伝子導入や薬品でできます。それが臨床治療に使えるほどの効果があるかどうかは研究されているところです。
また、死んだ細胞はよみがえりませんが、薬で新しく視細胞を作ることができるかもしれないという結果は最近 我々 われわれ が報告しました。この方法は新しく作った視細胞がちゃんと働くかどうかを証明して治療に使えるかどうかを検討する必要があります。
Q-7
網膜の再生・発生について化学的因子(薬品など)・物理的因子(光など)が関係ありますか。
A-7
体の中のどの部分も多くの蛋白や遺伝子が非常に緻密にコントロールされて発生、再生します。またその遺伝子や蛋白と同じ作用をする化学物質もあります。また網膜神経がうまく働くように最後に調整するのは光の刺激である可能性があります。このように、あらゆる刺激が発生段階で関わっており、再生でも同じことが起っていると考えられます。
そのうちの多くのことが研究で解明されて来ていますが、それでもまだ生体の中で起っていることのごく一部しかわかっていないのが現状です。
Q-8
タンパク質ロドプシンを人工的に作り(培養)して網膜組織に返すことが可能ですか。
A-8
ロドプシン蛋白を細胞内で作らせることは遺伝子導入(細胞に遺伝子を入れ込む事)で可能で、 我々 われわれ の過去の研究でも虹彩細胞にロドプシンの遺伝子を導入することでその細胞の中でロドプシン蛋白ができることが確認されています。しかし、ロドプシンがあるだけでは視細胞の代わりとして働く事はできません。その他多くの蛋白が共同して働く事によって、光を神経信号にかえるという視細胞の働きが生まれます。
(ちなみに培養とは細胞をシャーレで飼育することで、タンパク質は細胞の中で働く物質ですので培養とは言いません。)
Copyright© TakahashiLab.RIKEN.Kobe All Rights Reserved.