2014 研究成果報告 印刷用ページ(PDF)

ごあいさつ

いつも網膜再生医療研究にご理解とご支援をいただき、誠にありがとうございます。

母校である京都大学でスタートした網膜再生研究を理化学研究所で継続して今年で10 年目を迎え、昨年9月には我々の研究のひとつの節目とも言える人への網膜色素上皮細胞の 自家移植という臨床研究を行うことができました。

 この臨床研究の実施にあたっては、主宰する網膜再生医療研究開発プロジェクトのメン バーはもちろんのこと、理研は元より他機関の研究者、事務の方々、関係省庁、患者さんや医 療従事者、報道関係者など、ここに書き切れない多くの方々の協力なしには成しえないこと だったと今更ながら実感しています。

また、臨床研究だけでなくその他の研究開発でも様々な成果をあげており、みなさまにプロ ジェクトの研究成果をご紹介できることを研究室の主宰者としてうれしく思います。

研究室で行われている研究と成果については、のちほど詳しくご紹介させていただきますが、40名を超える研究員とテクニカルスタッフの叡智と努力の結晶であり、ひとつひとつの成果は日本のみならず世界の科学技術の発展に寄与するものだと自負しています。

しかし、いずれの成果もひとつの節目であり、我々が目指す目標の達成までさらに研究開発が続きます。また、毎年のように新たな網膜再生に関する研究テーマが生まれており、私たち 研究者がやるべきこと、果たすべき役割は山積していますがその研究開発に必要な研究費や人件費の確保に多くの研究者が頭を悩ませている中、私たちのプロジェクトがみなさまか らの寄附というご支援に支えられ、日々の業務を遂行できることは本当に幸せなことだと思っています。

これからご紹介する研究成果がみなさまからのご支援の上に成り立っていることに感謝すると共に、常にこの感謝の気持ちを忘れず真摯に研究に取り組み、できるだけ早く安全かつ適正な価格で行える治療法とシステム、そして社会に貢献する研究成果をみなさまにお届けできるよう責務を果たしたいと考えます。

今後ともこれまで以上のご支援とご理解を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

理化学研究所 多細胞システム形成研究センター
網膜再生医療研究開発プロジェクト
高橋 政代

1 iPS細胞を用いた臨床研究について

2 網膜色素上皮細胞移植に向けた新たな取り組みについて

3 視細胞移植研究について

4 病気の新しい診断検査について

5 遺伝子診断について

6 ロービジョンケアの取り組みについて

7 業績など

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1.iPS細胞を用いた臨床研究について

2014年9月12日、私たちは、iPS細胞から作りだした細胞を患者さんへ移植する、世界初の手術を実施しました。  私たちは網膜機能の再生を目指し研究を進めています。その最初の一歩として、「滲出型加齢黄斑変性に対する 自家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)シート移植」の臨床研究を行っています。この臨床研究は、ご高齢の方に多 い眼の病気のひとつである「滲出型加齢黄斑変性」の患者さんを対象に、iPS細胞から作製したRPE細胞のシート を網膜の下に移植することにより、視機能を維持、改善する新たな治療法の開発を目指すものです。

1-1 臨床研究とは

  • 新しい治療法が一般的な治療法として認められるためには、その治療法に効き目があり、安全であることを確 かめる必要があります。そのためにいろいろな試験をします。多くの場合は動物で試験を行った後に、人を対象と した試験へ、段階を踏んで進めていきます。このような、人を対象とする試験を「臨床研究」といい、通常の治療と は異なり新しい治療の効き目や安全性を調べる研究的な側面をもちます。現在、病気や怪我をした時にさまざま な治療を受けることができるのは、過去に行われた臨床研究に参加していただいた患者さんの協力によりもたら されたものです。

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1-2 iPS細胞とは

  • 皮膚などの体細胞に、いくつかの因子(遺伝子)を入れることによって作り出された、様々な組織や臓器 の細胞に分化する能力(多能性)と、ほぼ無限に増殖する能力を持った、人工多能性幹細胞( induce dpluripotent stem cell)のことです。2006年に、 京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功しました。

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1-3 網膜色素上皮(RPE)細胞とは

  •  網膜の外側にあり、網膜を保護する役目を持つ細胞です。隣接する網膜の細胞に栄養を与えたり、老廃物を食べたりして、網膜細胞を元気に保つ働きがあります。

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 加齢黄斑変性は、加齢に伴って発症する網膜の黄斑部の変性で、主な原因はRPEの老化(機能低下)によるも のと考えられています。加齢黄斑変性には滲出型と萎縮型の二つのタイプがあります。日本人に特に多い滲出型 は、RPEの下から異常な血管が生えてきて網膜がダメージを受けるもので、現在の治療法としては、血管ができる のを抑える薬の眼球注射(ルセンティス、アイリーアなど)が主流となっています。これは早期の症例には有効で す。しかし症状が進んだ場合には効果は低く、視機能を維持・回復させるためには、異常な血管や瘢痕組織を取り 除くとともに、網膜下のRPEの再建が必要です。  RPEは網膜を元気に保つために重要な役割を担っています。RPEの機能が低下すると、網膜が弱って視力、視 機能が低下します。私たちは、iPS細胞から、生体から得られるものと同等の機能を持つRPEを作り出すことに成 功しており、動物実験によりそれが生体内で機能すること、腫瘍化など安全性において問題のないことを確認しま した。これらの研究結果に基づき、倫理審査委員会と厚生労働省の審査を受けた上で、臨床研究を開始しました。  今回移植を受けた患者さんについては、細胞の腫瘍化など安全性上の問題は起きていません。視力の大幅な 回復などの効果は見られませんが、今のところ新生血管の再発も見られず、経過は順調です。

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1-4 2015年度の研究成果目標と今後の取り組み

  • この最初の患者さんについては、ご本人の皮膚の細胞からiPS細胞を作り出し、それをRPE細胞に変化させて 移植する「自家移植」を行いました。この方法は、自分の細胞を用いるため拒絶反応が起こりにくいという利点は ありますが、一人ひとりiPS細胞を作るため、大変な時間と費用がかかります。 そのため、今後はより多くの患者さんに早く治療を届けることを目標とし、京都大学iPS細胞研究所と協力して、 あらかじめ作っておいた他人のiPS細胞を利用する「他家移植」を進めていきたいと考えています。
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2 網膜色素上皮細胞移植に向けた新たな取り組みについて

ヒト白血球抗原(MHC)がホモのiPS細胞で作製した網膜色素上皮細胞(RPE細胞)をMHCが合う型の他人へ移 植すれば炎症(拒絶反応)が抑えられることがサルを用いた動物実験からわかりました。

2-1 MHCとは

  •  MHCとは、日本語で言うと主要組織適合遺伝子複 自家・他家移植とは合体の事で、ヒトではHLA(Human LeukocyteAntigen)となります。このHLA分子とは、ヒト白血 球抗原の事で、白血球の血液型と言えます。一般的には血液型と言うとA, B, AB, O型に分けられてこれらは赤血球の型を示しますが、HLAはその「白血球の血液型」と言えます。

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2-2 ホモ・ヘテロとは

  • ホモhomoは同じという意味、ヘテロheteroは異質の、異なる、という意味です。上記したHLA抗原は父親と母親の遺伝子情報を引き継いだものです(父親半分、母 親半分)。HLAがヘテロの場合、父親と母親から別々の遺伝子情報を引き継いだもの、また、ホモの場合、父親と母親から同じものを引き継いだものという事になります。例を挙げると、HLA-A2(父親由来)/A2(母親由来) の場合はホモ、HLA-A2(父親由来)/A24(母親由来)の場合はヘテロとなります。

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2-3 自家・他家移植とは

  • 自家移植とは自分の細胞・組織・臓器を自分に移植するもの、他家移植とは自分以外の他人の細胞・組織・臓器を移植するものを示します。

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2-4 サルを用いた動物実験の方法とわかったこと

  • 【実験方法】
    ヒト白血球抗原(MHC)がホモのiPS細胞から網膜色素上皮細胞 (RPE細胞)を作製し、MHC抗原が合う別のサルの網膜下へ移植(他家移植)しました。
  • 【実験からわかったこと】
    免疫抑制剤を使用しなくても網膜の炎症が見られませんでした。
    →このことから拒絶反応がなく、移植した細胞が生着したことがわかりました。 iPS細胞を自家移植で行う場合、コストが高く、培養期間が長いという問題がありますが、iPS細胞バンクを作製してそのバンクからMHCが合う細胞を移植で利用すればコスト、時間を大幅に削減できることができると考えます。 また、免疫抑制剤を使用しないまたは投与量を減らすことができれば患者さん の身体への負担も軽減できます。
  • sinbunkirinuki
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2-5 2015年度の研究成果目標と今後の取り組み

  • (1)サルの移植による実験を継続
  • (2)免疫抑制剤使用の検討
  • (3)ヒトリンパ球を用いて試験管内で拒絶反応が見られるか検討 (臨床前試験)する
  • (1),(2),(3)を調べることで他家移植にて移植が可能か(他家移植ならば大幅なコストダウン)、また、この他家 移植で免疫抑制剤などの薬剤が追加で必要かなどがわかります。

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3 視細胞移植研究について

網膜色素変性は日本では約3000人に1人とされている遺伝性の変性疾患で、視細胞の中でも桿状細胞と いわれる、特に暗いところで光を感じる細胞が変性して失われていきます。なので、最初は夜盲症といって暗いと ころでものが見づらかったり、進行とともに視野が狭くなって真ん中の部分しか見えない状態となっていきます (図)。私たちはこういった変性疾患を対象としてiPS細胞から作った網膜組織を変性した網膜の下に移植して、光 を感じなくなった部位が再び光や物の形がわかるようになるような治療を目指して研究しています。下の図では、 中央の部分だけ視細胞が残っていますが(黄色丸、断面図矢印の領域)、その周りの白い枠で示したような部位に 視細胞移植をすることによって、少し視野が広がったり、暗いところで光がわかったり、といった効果が期待できる 可能性があります。また、このように周りから失われていく細胞を進行途上で補ってやると、真ん中の「視力」に一 番関係する大事な部分の変性を遅らせる効果も期待できる可能性があります。

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網膜の断面図をみると、変性疾患では次の図のように「視細胞」(ONL)の層がなくなっていきます。ここに、移 植した組織が「層構造をもって生着すること」がマウスの実験でわかってきました。

また、マウスの実験では実際ホストの神経細胞が移植視細胞とシナプス結合している可能性も観察していま す。こうして生着した移植視細胞は、光に反応することがほぼ分かっています。ただ、それが「光が見える」状態と なるためには、その移植細胞の信号が、シナプスを通してホストの細胞に伝わらなければなりません。この光反 応が、ホストの繋がった先の細胞や脳まで伝わっているか、いわゆる「視機能」の解析を現在おこなっているとこ ろです。そのために、現在神経細胞の活動状態や、マウスの光に対する行動などの解析を進めています。


↑ホスト網膜の移植片のある部 分(緑)で光応答がみられ、移植した細胞が少なくとも光に 反応していることを示している

 また、マウスだけでなく、ヒトの細胞を使っての研究も進めており、これまでに、ヒトのESやiPS細胞などからも 同様の移植用の網膜組織が作れることや、これらの組織が移植後きれいに分化成熟した視細胞になることも観察しています。

3-1 2015年度の研究成果目標と今後の取り組み

  •  2015年度は、移植後の「視細胞機能の回復」をまずはマウスで、そしてヒトの移植組織を用いても同様に解 析を進めていく予定です。また、サルでの網膜変性モデルを用いて、実際ヒトで行うような手術を行い、具体的な 方法や、ヒトの細胞がサルなどの霊長類においても同様に移植後生着、機能するかどうかを調べ、臨床応用への 道を進めていく予定です。

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4 病気の新しい診断検査について

眼感染症・ぶどう膜炎の新しい診断検査として、眼局所検体を用いた眼感染症を網羅的・包括的に検査する画期的な診断法の研究を行っています。

 1)マルチプレックスPCR(多項目迅速PCR)& 定量リアルタイムPCR

 マルチプレックスPCR(多項目迅速PCR)とは、その名前のとおり多くの項目(多種類)を迅速(短時間)に病原微生物の遺伝子を調べる方法です。
 定量リアルタイムPCRとは、その病原微生物の遺伝子の量が多いのか少ないのかと定量できるものです。

 2)ブロードレンジ定量PCR(細菌種、真菌種全般遺伝子検査)

 ブロードレンジ定量PCRとは、ヒトに感染する数万種類の細菌(バイキン)、真菌(カビ)のそれぞれの共通領
域の遺伝子を調べる事で、細菌や真菌の遺伝子がその検体内に含まれているかがわかり、また、その遺伝子の
量もわかります。ただ、その中のどの種類かまでは分かりません。

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4-3 なぜ新しい診断検査が必要なのか

  • 眼感染性には、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など多種多様の病原菌が関与していることがわかっていて、近年、分子生物学の検査技術の進歩により多くの症例で診断がつくようになりました。
  • 眼感染性の炎症の病態はとても複雑で、症例によっては複数の病原菌が関与している可能性があります。この病原菌を特定する検査法として次の2種類の検査法を開発・実施しています。
  • マルチプレックスPCRの眼感染症検査はスクリーニング検査としてその診断に有用
  • ブロードレンジPCRは細菌種、真菌種全般の遺伝子を同定する検査で有用病原菌を特定することにより、医師が適切な診断・治療を行うことにつながります。

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4-4 2015年度の研究成果目標と今後の取り組み

  • (1)上記PCR方法を改良してキット化を目指す検討
  • (2)そのPCRキットの検証 (感度・特異度)
  • (3)全国の多施設でこの共同研究を行う

ことでより研究開発を加速させ、眼感染症の診断・治療に役立てたいと考えています。特に(3)の全国の多施設でこの共同研究を行う目的は、日本は地域によって感染症分布が異なるため広い地域(全国)でこの研究を同時に行えば抜けがなく網羅的に調べる事が可能であると思っています。

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5 遺伝子診断について

網膜再生医療研究開発プロジェクトでは網膜変性疾患(主に網膜色素変性)の患者さんの遺伝子診断を行っています。  網膜色素変性は遺伝子の変化が原因で起こる病気です。原因となる遺伝子は現在までに60~70個ほど報告されてい ますが、これらの既に報告されている遺伝子の変化を調べても患者さん全体の2̃3割にしか当てはまらず、まだまだ原因 となる遺伝子がわからない病気です。そこで、当チームでは現在までに報告ある遺伝子を網羅的に調べるより効率的な方 法としての最先端の遺伝子解析技術のシステム構築を目指しています。  また、これまでにわかった原因遺伝子の解析結果と患者さんの臨床情報を適切に管理するためのデータベースを構築 しています。こうした情報を解析し、原因遺伝子別の頻度、病気の進み方や症状の差、遺伝子診断法の確立、さらには、将 来的に新しい治療法の研究や、適した治療薬の選択に役立てることを目指しています。  それと同時に、遺伝子の変化が原因と考えられていることから「遺伝」がかかわります。そのかかわり方は様々で、子ど もに必ず遺伝するということではありませんし、網膜色素変性の半分近くの方は親族にまったく同じ病気の方がおられな い孤発例です。  網膜変性が世代を超えて伝わる伝わり方(遺伝形式)はいくつかのパターンがあり、「常染色体優性遺伝」「常染色体劣 性遺伝」「X連鎖性劣性遺伝」などが考えられています。遺伝子診断の結果は、遺伝のパターンが予測される結果でもあり ますので、患者さんやそのご家族にとって大きな意味を持つことがあります。病気のご理解とご心配を含め、慎重な検討を 必要とすることもあり、遺伝カウンセラーが一緒に、検査が患者さんやご家族にとってどういう意味を持つかを検討するた めの「遺伝カウンセリング」という場を設けています。

5-1 遺伝子診断はどのようにして行われるのか?

 遺伝子診断の前に遺伝カウンセリングと行います。遺伝カウンセラーが患者さんや家族のニーズに対応する 遺伝学的情報の提供を行ったり、遺伝や病気に関する悩みの相談にのり、患者さんや家族が安心、理解した上で 意思決定ができるように援助します。

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5-3 遺伝子診断はどんなことに役立つのか?

網膜変性の原因解明や症状の予後の予測、各種治療薬の効果、将来の治療方法の選択、遺伝形式の判明に役立つ可能性があります。

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5-4 遺伝子診断の抱える問題

 網膜変性の症状は患者さんによってさまざまで、これまでに原因となる遺伝子が多数報告されています。しか し、これからは全体の患者さんのごく一部でしかなく未だ不明な遺伝子の変化が多数存在すると考えられます。 そのため網膜変性疾患の遺伝子診断では網羅的な解析が必要です。しかし、網羅的に遺伝子診断を行うには膨 大な手間も費用もかかるため一つ一つの病院や研究機関で遺伝子診断を行うことは困難です。

5-5 私たちの取り組み~専門施設と共同での遺伝子診断システムの構築~

  私たちは、全国の病院・研究機関の網膜変性疾患の患者さんの遺伝子診断を行うと同時に、患者さんの試料 (血液・DNA)を収集・保管・解析するためのシステム構築に取り組んでいます。また、最先端の遺伝子解析技術 を有する研究施設と共同で研究することにより確実であり、さらに、コスト面でも普及可能となるよう検討を重 ね、今後の基盤となる遺伝子診断システムを築きあげていくことを目指しています。

5-6 Orphan Net Japanを介した遺伝子解析サービスシステムの構築

希少遺伝性疾患の遺伝学的検査を提供してきた研究室をネットワーク化したOrphan Net Japan(ONJ) と 提携し、網膜変性に関連する遺伝子診断を希望される医療機関から、遺伝子解析を受託するサービスのシステムを構築しました。

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6 ロービジョンケアの取り組みについて

6-1 「ロービジョンの集い」の開催

 日本の視覚障害者は164万人、うち全盲は18.8万人、145万人 がロービジョン(弱視)と言われていますが、私たちが普段の生活の 中で得ている情報の80%は視覚から得ていると言われていて、ロー ビジョンにより外界からの情報が得られなくなった場合、生活が不 便になるだけでなく、行動に危険が伴うことが容易に想像できます。  また、60歳以上の人の視覚障害の原因疾患は緑内障、黄斑変性 症、白内障、60歳未満の人の原因疾患は網膜色素変性、糖尿病網膜 症、外傷がそれぞれ上位を占めています。
 その中で、治療法がまだ確立されておらず、矯正器具を使用しても視覚障害の改善を図れないロービジョンの人 にとって、ロービジョン外来(ロービジョンケア)で行われる補助具や生活グッズの紹介、情報提供のほか、環境の整 備、社会資源の活用、心のケアが重要となります。  そこで、私たちは病院・医院のロービジョン外来で行われるロービジョンケアとは違った情報収集の場として、ま た、病気のことだけでなく、生活面の悩みや相談事を共有し、話し合う場を提供することで、少しでもロービジョン 者とその家族の精神的な負担を軽減したいと考え、神戸市立医療センター中央市民病院、先端医療センター病院 および神戸アイライト協会と連携・協力し、目が見えにくい方・見えない方とそのご家族が病気のことだけでなく、 日々の生活の中で困っていることや悩みごとを相談し、話し合える場として「ロービジョンの集い」を開催しました。  
「ロービジョンの集い」では、眼が見えにくい・見えない方だけでなく、その ご家族が眼に関する悩みや疑問、困っていることをひとつひとつ解決できる 場にしたいと考えます。ロービジョンの方を支えるネットワークは、患者団体、 NPO支援団体、医療・福祉機関、教育機関、行政と幅広く広がりつつありま す。今後もネットワークのスタッフがみなさんの様々なご要望にお応えできる ようサポートしていきます。



  • 開催場所/先端医療センター 4F会議室
  • 参加人数/のべ121名
  • 参加費/無料
  • 情報公開/「ロービジョンの集い」で話された内容は研究室のHPで公開しています。
    http://retinastem.jp/menu04_lowvision.html
    開催日とテーマ/奇数月の最終火曜日 (合計6回開催)
  • 2014年 5月27日(火)「こころとからだの健康を考える集い」
  •           7月29日(火)「将来の夢や進路を考える集い」
  •           9月30日(火)「家事や趣味を楽しむ集い」
  •          11月25日(火)「人生を語り、楽しむ集い」
  • 2015年 1月27日(火)「見えない・見えにくい子供さんを持つ親の集い」
  •           3月31日(火)「仕事や家族のことを考える集い」

6-2 2015年度の目標と今後の取り組み

2015年度も継続して「ロービジョンの集い」を開催し、今後は神戸だけでなく大阪、京都で開催するなど活動 エリアの拡大と内容の充実を図るとともに開催回数を増やすことも考えています。
  さらにロービジョンケアの活動を広げるために市民・学生ボランティアと連携・協力し、ロービジョンケアを中心としたリハビリ・社会実験などの研究開発にも取り組む予定です。

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